先祖から受け継いだ山々をたった一人で切り開く孤高の林業家

お話を伺ったのは

石田 清一郎さん
土佐町在住の自伐型林業家

嶺北・土佐町

まちの歴史は古く、縄文土器や銅鐸などが各所から出土する高知の中山間地域です。連綿と受け継がれてきたこの地の森に今、何が起きているのでしょうか。

棚田の景観

私たちの先祖は、大地の山林を切り開き、伐採した木材で家や道具を作りながら、切り開いた土地を耕し、農作物を作る生活をしてきました。その中で、常に探求してきたのは、美しさ。
土佐町に点在する美しい数々の棚田は、人が人を想いながら、共に創り出してきた創造美です。だからこそ、多くの人々の心を魅了する景観になっているのでしょう。

林業の現状

しかし現在の林業は、木材価格の低迷などにより、後継者不足や山林放置といった問題が山積みです。
そんな現状のなか、先祖から受け継いだ山をたった一人で切り開こうとしているのが石田さん。林道作りも、作業も全て一人で行います。

農業にも収穫期があるように、林業にも収穫期があります。ただ、林業の場合、主伐(収穫)には、約50年から60年の歳月がかかります。今主伐をしているほとんどの杉は、戦後の国策である拡大造林政策により植林されたものになります。しかし、戦後の薪や炭から電気やガス、石油などへのエネルギー資源の変化や、外材(輸入材木)の自由化などにより、国内の林業需要は減少し、木材価格も低下していきました。
後継者不足や山林放置をはじめ、林業を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
そこで今、高知では自伐型林業を推進するプロジェクトや未利用材を使用した木質バイオマス発電の自然エネルギー開発などの動きが出て行きます。

変わりゆく森を見守り続ける

町内の約84パーセントが森林地帯である高知県の嶺北・土佐町で自伐型林業を営む石田さん。いま、戦後に植林造林した多くの杉材が今収穫期を迎えています。戦後の国策である拡大造林政策が失敗だったのか。それとも再興への経路に過ぎないのか。その分岐に立つ私たちが、これからの森をしっかり見つめていかねばならないと感じました。

今回の訪問先

石田さん所有の山林 土佐郡土佐町南川付近


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