スタジオジブリも訪れた大川村の秘境にある木星館
お話を伺ったのは
川村 純史さん
1949年6月生まれ。約35年前に自分の生まれ故郷である大川村にUターンし、自身のデザイン力を生かして、家具作りで起業。以来、スタジオジプリも訪れた木星館を運営する。
35年前にUターンし、デザイン力を生かして起業
木星館を始めたキッカケは、イバリ(木の根っこ)を道端で発見したことです。
大川村にUターンをしたのは、35年前。自分が長男であったことと、両親の病気がキッカケだったそうです。しかし、東京のデザイン会社を退社し、Uターンしたものの仕事はありませんでした。そんな時に、車で往来している途中に多くのイバリを見つけました。「当初は汚いなぁという印象でしたが、自分のデザインの力を生かしてなんとかできないか模索しました。その時、最初に浮かんだのが椅子でした。すぐさまイバリを回収し、チェーンソーで切り出して椅子を作りました。完成した椅子を役場に見せたのですが、反応はイマイチでした。」ただ、より多くの反応や声を聞こうと高知市内のスーパーマーケットで開催されていたおらんく自慢という展示会に出品したところ完売。これは売れる。と確信したそうです。その後、一人では量産はできなかったので、村の人々に声をかけて協力を仰ぎました。
森を想起するデザインを
「今作っているものは、椅子とかテーブルの家具などの制作をしていますが、葉っぱのテーブルとか、どんぐりのテーブルなど提案型デザインの家具も制作しています。子供達が、制作した家具を見たときに森を想起してほしいという思いを込めています。それと、子供たちの姿勢が最近悪いので、それを矯正できるような椅子を制作したりしています。使ってもらえる人を想像して、どうやったら喜んでくれるのか。日々想像し、デザインを考えています。」
伝統美である指物家具に挑戦
「今後の目標は、コツコツと目の前の制作物を制作しながら、昔からある伝統的な指物のデザインを組み込んだ家具の制作を通じて、伝統的な美しさを表現していきたいと思っています。日本人らしさが最近のテーマになってきています。」
森や山への想い
「大川村の木材を使用した家具作りを通じて、今とても危機感を感じているのが森や山の管理です。人間は本来もっと森や山と共生するべきだと思っています。ですので、できる限りですが、人に会う度にそう伝えています。CO2問題、温暖化問題などの環境問題の解決の手立ては、森を育成する以外の道はないと思っています。自分ができることは数少ないですが、CO2の缶詰なるものを制作したりしました。木はCO2を吸収して中に固定しています。つまり、木が沢山あることは温暖化対策のCO2の吸収に貢献できるということ。このことを言葉だけでなく、子どもたちに木に手で触れてもらってリアルに感じてほしいという思いでこの缶詰を制作しました。丸太の周りには、酸素と二酸化炭素の仕組みを解説したラベルがぐるりと貼ってあり、CO2の排出までの仕組みを理解することができます。」
未来へ残していきたいこと
「まずは、この木星館の前にある川です。しかしこの美しい川もダムの影響により変化しつつあります。その原因はダムへの土砂の流出を避けるために作られる砂防堰堤です。この砂防ダムは美しい川の生態系を破壊してしてしまうので、建設には反対していきたいです。そしてやはりこの山ですね。今息子も大川村にいるのですが、山の素晴らしさを親子で伝えていこうと思っています。いつかはきっと山の素晴らしさをみなさんが理解してくれる日がくると思っています。」
今回の訪問先
木星館
〒781-3601
高知県土佐郡大川村大北川226
電話番号:0887-84-2344
営業日時:月–金/10:00–17:00
交通手段:大川村役場から車で10分